2026年9月5日(土)、岐阜市のぎふメディアコスモスにて、「当事者家族から学ぶ」シリーズ第5回となる講演会「自閉スペクトラム症児の自立にむけた家庭支援」を開催しました。
今回の講演会では、自閉スペクトラム症の男子児童の保護者をゲストにお迎えし、癇癪や場面緘黙、学習の遅れなど、家庭生活のなかで直面してきたさまざまな困りごとと、お子さんの自立にむけて取り組んできた家庭支援についてお話しいただきました。
NPO法人れおんの本田暉がファシリテーター、仁藤二郎がコメンテーターを務め、ご家族の実際の取り組みをもとに、家庭での支援について解説しました。
「どうすればいいのかわからない」から始まった家庭での支援
Eさんが相談に来られた当初、お子さんへの対応について、**「どうすればいいのかわからない」**という思いを抱えていました。
当時のお子さんには、
・外出先で周囲の人に「見ないでよ」と訴える
・家のなかで物を投げたり、家族を叩いたりする
・洗髪など、母親がいないとできないことがいくつもある
・家族や特定の人としか話すことができない
・宿題になかなか取り組めない
といった様子がみられていました。
今回の講演会では、こうした困りごとに対して、ご家族がどのように考え、どのような支援を積み重ねてきたのか、具体的なエピソードを交えてお話しいただきました。
取り組みの結果、現在では外出先や家庭での癇癪はほとんどみられなくなりました。
さらに、以前は母親の助けが必要だった洗髪や登下校を自分でできるようになり、家庭でのお手伝いも増えています。
コミュニケーションについても、家族や特定の人だけでなく、声を出して話せる場面が増えました。
学習面でも変化がみられ、以前は宿題に取り組むこと自体が難しかった状態から、苦手だった科目が得意になるまでの成長がみられています。
こうした一つひとつの変化について、実際に家庭でお子さんと向き合ってきた保護者の視点から、臨場感たっぷりにお話しいただきました。
「自閉症だから○○」ではなく、その子に合った支援を
自閉スペクトラム症のお子さんへの支援について調べると、
「自閉症だから視覚支援」
「聴覚過敏だからイヤーマフ」
といった方法を目にすることがあります。
もちろん、こうした支援がそのお子さんにとって有効な場合もあります。
しかし、同じ自閉スペクトラム症という診断であっても、困っていることやその理由、得意なこと、生活環境、ご家族の状況は一人ひとり異なります。
そのため、診断名や特性だけから支援方法を決めるのではなく、
「なぜ、この子は今この行動をしているのだろう?」
「どうすれば、この子が自分でできることを増やしていけるだろう?」
と、その子自身と生活している環境を丁寧に見ながら考えていくことが大切です。
私たちは、こうしたその子・その家庭に合わせた“オーダーメイド”の支援が、自立にむけた家庭支援では重要だと考えています。
当事者家族の経験だからこそ伝わること
講演終了後には、参加者の方から、
「感動しました」
「本当に聞けてよかったです」
といった声をいただきました。
専門家が支援方法を説明するだけでは、なかなか伝えきれないことがあります。
「どうすればいいのかわからない」というところから、ご家族がどのように試行錯誤し、お子さんのできることを一つひとつ増やしてきたのか。
その過程をご家族自身の言葉で語っていただくことに、「当事者家族から学ぶ」シリーズの大きな意味があると、改めて感じる機会となりました。
NPO法人れおんでは、これからも当事者・ご家族と専門家が一緒になって、子どもたちの生活や自立について考える機会をつくっていきます。


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